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埼玉県でハウスメーカー工務店を決めるポイント

皆さん、こんにちは六花舎設計の桜井です。
こちらの記事では、家づくりを検討されている方で
「ハウスメーカー・工務店」自分はどこに頼むと良いんだろう・・・と、
悩んでいる方に向けて記事を書きました。

埼玉県久喜市で一級建築士として40年間、家づくりに携わったものとして
工務店選びのポイントをプロの目線で書いております。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。

ただ、なるべく公平な内容を書こうと意識しておりますが、
私自身が工務店の経営者・設計士のため、若干の主観が入ってしまっていることをご容赦ください。

はじめに

まずはじめに、工務店について情報をまとめたいと思います。
工務店とは、地域に根ざして住宅や店舗など建物の設計、工事やリフォームを担う建設会社のことです。設計から施工まで一貫して行う工務店と、設計は設計事務所に外注する施工専門の工務店があります。

工務店で注文住宅を建てる主なメリットは次の通りです。

・ハウスメーカーと比較して広告宣伝費などが低いため、建設費が割安になる
・間取り、設計の自由度が高い
・地域密着型の会社が多く、その地域の気候風土や自然環境を熟知している
・完成後も責任をもって長期的な付き合いができる

工務店とお客様の関係

お施主様と工務店の関わりは、深く、長い関係になる傾向にあります。

家づくりの完成は、土地探しから資金計画、間取りの要望や条件のヒアリング、デザインや設計の打ち合わせ、ご提案と御見積、サンプルや完成事例の確認、現場の見学など、注文住宅の計画から完成まで最低でも1年ほど、じっくり検討しながらこだわりのプランニングを進めるなら半年以上のスケジュールを組むことが一般的です。

商品とグレードを決めたら後はメーカー主導で進行する建売住宅と違い、オーナー様が要望を存分に伝え、意見交換しながら工務店の提案、設計にコミットできるのがフルオーダーメイドの家、注文住宅の醍醐味です。家づくりのパートナーとして二人三脚で建築からメンテナンスまでを担当できることは、工務店ならではの安心感といえます。

注文住宅の「精度」が大事

注文住宅をはじめとした住宅建築は、大工さんを含めた工務店が建てます。不動産会社やハウスメーカー、あるいは建築家へ家づくりを依頼しても、実際に建てるのは協力会社の「工務店」です。(広義での工務店。建設会社、住宅会社、リフォーム会社などハウスメーカー以外を指します。)

工務店に直接依頼して家を建てる場合は、もちろん工務店が設計、施工を行います。

工務店に直接依頼するメリットとして、下請け会社へのマージンがなく、大規模な宣伝広告を行わない分、リーズナブルな価格で建てられる点が上げられます。

しかし、希望通りの立地、デザイン、性能など、住まいの「精度」が不足していれば、実際に住み始めてからの快適性や耐久性は損なわれてしまいます。

住まいの「精度」とは、要望やデザインに沿って設計された気密性、断熱性といった家の性能を落とすことなく、図面通りに施工されているか、品質基準を満たしているか、住宅建築全般の施工の正確さ、精密度の高さをいいます。例えば、次のような施工が住まいの精度、住み心地を高めます。

・杭と基礎がしっかり定着した規定以上の施工
・品質基準を満たした部材の正確な取り付け
・じゅうぶんな雨水の浸入防止対策
・断熱材にすき間がなく、適切な厚みがある
・ドアや窓、建具の正確な納まり、建て付け
・ネジ、ボルトの適切な締め具合
・道具や設備の熟練された取り扱い
・見えない部分(下地や基礎、耐震)への責任ある仕上げ

これらの施工の精度は、家を建てる工務店の力量、知識や経験、管理体制で大きく左右されます。

工務店の選び方

注文住宅の新築や建て替えを相談、依頼する工務店を他のお施主様はどうやって選んでいるのでしょうか?

多くは、検討地に近い工務店、紹介をうけた工務店に相談、依頼するケースが多いです。他に、折り込みチラシやインターネットの情報サイトを見たり、SNSが工務店選びのきっかけになることも増えています。

しかし、規模の大小や得意とするプランや工法も様々な工務店は、地域内でも数が多く、比較検討できる情報が探しづらい、決定的なポイントがわからず決めかねる点が工務店選びの難しいところです。

そこで、注文住宅の新築を主な事業とする六花舎設計が、同じ工務店として施工者の立場から「こんな工務店なら任せられる」といえる工務店の選び方、見極めるポイントをお伝えします。今回は友人や知人からの紹介ではなく、インターネットを使ってゼロから始める工務店選びの方法になります。ぜひ参考にしてみてください。

①工務店の探し方

まずは、候補となる工務店をいくつかピックアップします。「地域名 工務店 注文住宅」などのキーワードでWEB検索をして、注文住宅を建てるエリアの工務店を調べます。

公式ウェブサイトを見て、自分の好みやイメージに合った事例があるか、住宅性能の基準、希望する間取りやデザインを得意としているかをチェックします。この段階では厳密に精査する、というよりはざっくりと「ここが良さそう」「しっかりしていそう」と感じた工務店を選んでいきます。

工務店のウェブサイトを見るときに、必ず確認してもらいたいポイントは下記です。

施工事例:住宅デザインのテイスト、説明のテキストのわかりやすさ。
お客様の声:その工務店に家づくりを依頼したお客様の本音がわかるか。
ブログ、イベント情報:会社のキャラクター、見学会開催などの姿勢など。


②資料請求をする

ピックアップする工務店を数社程度に絞り込めたら、各社に資料請求を行います。ウェブサイトだけで十分では?と思うかもしれませんが、手元に資料がまとまってあった方が一覧性があって比較しやすいメリットがあります。

③工務店を選ぶ

資料が届き始めたら、ウェブサイトも合わせて、自分に合っている工務店はどこか比較検討していきましょう。

1.技術
・得意な家づくりは何か
・差別化できている強み(数字を載せているか?)
・自社設計、自社施工か
・省エネ(ZEH)に対応できているか
・住宅完成保証制度や第三者検査の有無
・アフターサービスの内容

2.性能
・耐震性、耐久性、断熱性、気密性を希望する基準で施工できるか
・性能を定量的に表示したプランニングができるか

3.デザイン 設計
・センスや感性が自分のイメージや好みに合っているか
・実績や事例に一貫性があるか
・実現したい間取り、デザインに実績があるか(大開口・大空間、吹き抜け、地下室、二世帯住宅、地下室、ビルトインガレージ、中庭、平屋など)

4.事業内容、社内体制
・主な事業内容が注文住宅の新築工事か
・地元で長く続いているか
・施工の管理体制
・社内の雰囲気、清潔感

5.理念、哲学
・家づくりへの思い、社長のキャラクター、経歴、人柄、工務店としての理念や哲学をチェックする
・共感できることや、価値観の違いなどを知る
・SNSやブログで情報発信している内容をチェックする

6.対応力
・打ち合わせ時の対応の仕方、ヒアリングの姿勢はどうか
・身なりや言葉遣い、時間を守るか
・要望や疑問にごまかさずに応えられるか
・見積書や図面を納得できるまで確認できるか
・プロの視点で合理的な提案と設計ができ、正確に実行できるか
・契約を急がす、強引な営業はないか


工務店を決める

ウェブサイトや資料を読み込み、さらに数社に絞り込んで、実際に工務店に問い合わせます。具体的な間取りやデザインのイメージがまとまっていれば、電話やメールでプランニングや見積もりの相談をする日程を決めましょう。無料相談会や、勉強会、見学会に参加するのも、工務店選びの第一歩として適しています。

問い合わせや見積もりは1社だけでなく、複数の工務店と比較して検討しましょう。

打ち合わせまで

電話やメールでの対応も工務店選びの重要なチェックポイントです。こちらの問い合わせや回答に対して、マニュアル通り、定型文のみといった応対ではなく、真摯に具体的な対応を心掛けているかも、その工務店の社風、仕事への姿勢を推し量ることができます。

打ち合わせ当日までに、資料やウェブサイトではわからなかったところ、家づくりの質問をまとめておくと当日の進行がスムーズです。


打ち合わせでは

打ち合わせの日時が決まれば、実際に工務店の担当者と会い、プランニングや見積もりの相談が始まります。

ここからが工務店選びの本番です。コミュニケーションを通した対応力や提案力、オーナー様との相性が工務店選びの決め手になります。建築相談やヒアリングでは、新居のイメージや要望、ライフスタイル、資金計画や税金のことなど疑問や不安をより具体的に明確に工務店に伝えます。

「話を丁寧に聞いてくれている」
「デメリットも話してくれている」
「わからないことは調べて答えてくれる」
「できないことは正直に伝え、代案を出してくれる」
「報告や連絡が早く、正確に記録してくれている」

といったソフト面での誠実さ、話しやすさ、素人に寄り添う姿勢が、アフターフォローも含めて長い付き合いになる家づくりではとても大切です。気持ちよく、安心して任せられてこそ、注文住宅を工務店に依頼する意義があります。

見積書でわかること

見積書には「概算見積書」と「実施見積書」があります。実施見積書の構成は、総工費、工事項目別の集計金額、工事項目ごとの内訳明細と先に進むに連れ、細かく表現されています。

信頼できる施工会社の内訳明細書は内容が詳細で明確になっています。見積書は施工会社の実力を知る目安になります。

内訳明細の精度が高いことで、見積り内容と実際に工事で発生する費用の差を最小限に抑えられます。

(六花舎設計の内訳明細は、仮設工事や基礎工事といった工事内容を項目別に記載し、それぞれの項目ごとに、工事内容(規模、寸法、仕様など)、数量、単価、金額、備考などを具体的かつ丁寧に記載しています。)

そして、工務店選びで「担当者の人間性、相性」と同じくらい重要なポイントが「現場と人」です。

注文住宅の工務店選びは「現場と人」が最後の決め手

工務店では「完成見学会」や「構造見学会」「OB施主宅見学会」などを実施して、自社の施工力や施工過程を注文住宅を計画中の方へ向けて公開しています。

構造見学会では、ウェブサイトや資料、担当者の説明で見聞きしていた技術を実際に見て確認することができます。

完成見学会では、デザインや間取り、施工の仕上がり具合や、気密性や断熱性を体感できます。

建築現場を実際に見る【重要】

特に、建設途中の注文住宅を見学できる「構造見学会」や「完成見学会」への参加は、積極的に参加しましょう。なぜなら、建築現場にこそ工務店の仕事ぶりが如実に現れるからです。

内装工事が行われる前なら、完成してからでは見えない部分の施工を確認できます。

また、建築現場と現場周辺がきれいに整理整頓され、清掃や片付けが行き届いているかにも注目してください。優秀な工務店の現場は、きっちりと整理され、周りにゴミひとつなく美しい状態が保たれています。

現場見学会で工務店に聞くこと

建築家に設計を依頼する注文住宅を検討している方は、見学会の際に工務店に「建築家と一緒に仕事をしたことはありますか?どのようなスタンスで関わっていますか?」と尋ねるといいでしょう。

建築家に設計を依頼する注文住宅は、設計監理は建築家、施工は工務店と役割分担されます。施工管理者は、建築家のデザインや仕様へのこだわりを理解し、現場の大工さん、職人さんに明確に伝える重要な仕事を担います。建築家と仕事をした経験のある施工管理者は、デザイン性と機能性をどう両立するかを熟知しています。

六花舎設計は、在籍する全ての施工管理者(2020年2月現在)が、建築家案件の施工管理の実績が多数あります。

建築家案件は、デザインやディテールなどへのこだわりから、建築家に施工面で難しい要求をされることがあります。施工者としてはなるべく要求に応えたいと思います。

一方で設計内容によっては施工精度の確保や耐久性、メンテナンス性などを考えると、時には「できない」と回答したくなることも正直あります。

六花舎設計では建築家の要望に対して、基本的に「できない」と回答しないように心がけています。なぜなら、そこにお客様の想いや、建築家の美意識などが詰まっていることがあるからです。

難しい施工は、自分たち(六花舎設計)の技術力や経験値を高める機会にもなります。その結果が、美しいデザインやディテールにつながります。お客様に喜んでいただける注文住宅を実現するためには、そうした積み重ねが大切なのです。

工務店の提案を断りたいときは?

以上の手順で工務店選びを進めていく中で、少しでも違和感はあれば、すっぱりと中止しましょう。

疑問や不安に思うことを担当者に相談したが回答に納得できなかった、提案や見積もりが合わなかった、他により良い提案を受けた、担当者とのコミュニケーションがうまくいかない、対応に不満がある、など断りたい理由は様々です。

貴重な家づくりの時間を浪費せず、決定した提案に集中するためにも、「今回は見送らせてほしい」と伝えましょう。何度か打ち合わせや現地見学をした後では言いづらくなってしまうかもしれませんが、工務店側はそういった事例への対応にも慣れてもいますので、気負わず連絡すると良いでしょう。

工務店に家づくりを相談する際のポイントは、「常にオープンな姿勢で接する」ことです。ほとんどの工務店は営業専任のスタッフは存在しません。設計提案や見積り金額の提示の段階では、その工務店の経営者もしくは設計担当が相談相手のはずです。お客様を追客する時間や余裕が無いのが実態です。

建てたい住宅の要望や課題、悩みなどを伝えながら、設計や見積もりの提案を受け、どうしても納得できずに断る場合には、なるべく早い段階で断るようにしましょう。その際は工務店に対して「正直にその理由を伝える」ことがマナーです。

工務店側にとっても依頼されなかったことは大きなダメージですが、「受注できなかった理由=自社の課題」と認識できますので、今後の業務改善にもつながります。

まとめ

独自の見解ではありますが、工務店の探し方、選び方を紹介しました。

施工技術や実績に申し分なくとも、それらを支えるのはオーナー様から「担当する人」「現場の人」への信頼の積み重ねです。地域に根ざした家づくりを標榜する工務店なら尚のこと、オーナー様への向き合い方、家づくりへの姿勢は厳しく問われて然るべきと考え、自分達の襟を正すつもりで記事にしました。

「住まい選びは人選び」とも言われます。数ある工務店の中から1つの会社を選ぶ中で、このことを強く意識しながら注文住宅をご検討いただきたいと思います。相手任せにならず、流されず、フェアでオープンな意見交換で工務店との信頼関係を築く一助になれば幸いです。


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