AIで間取りをつくってみたら?――AI間取りと建築士による設計の違い
こんにちは。
株式会社六花舎設計、設計部です。
近年、AIによる間取り自動生成ツールが普及しています。
お客様ご自身で、希望する部屋数や広さ、キッチンの位置などを入力し、間取りを作成できるサービスも増えてきました。
そこで今回、弊社でも実際にAIに間取りを生成させてみました。
今回入力した条件は、ネットサイトからの問い合わせいただきましたもので、次のようなものです。
- 旗竿地
- 対面キッチン、または二の字型キッチン
- LDKは12~13畳程度
- 6畳程度の居室+クロゼット
- ユニットバスは1620サイズ
- 2階は主寝室8~10畳程度
- 4.5畳程度の洋室を2室
- 各室にクロゼット
- 納戸を設置
- 外構込で2800万から3000万円
そして、実際にAIが作成した間取りがこちらです。
※画像はAIに入力条件を与えて生成した間取りイメージです。実際の建築計画として検討・確認したものではありません。
※上記の面積・工事費等はAIが生成した参考値であり、実際の建築費用を示すものではありません。敷地条件、仕様、時期等によって実際の費用は変動します
一見すると、必要な部屋や希望した広さがきれいに配置されており、「これならそのまま家を建てられそう」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、設計者の視点から確認すると、いくつか気になる点がありました。
間取りは「部屋を配置する」だけではありません
住宅設計では、部屋数や広さだけを合わせれば完成、というわけではありません。
特に今回のような旗竿地では、敷地の形状や道路との関係、駐車スペース、建物の配置など、さまざまな条件を同時に検討する必要があります。
さらに、
- 上下階の壁・柱の位置関係
- 直下率などの構造的なバランス
- 構造耐力壁の配置
- 給排水管などの設備配管ルート
- 家事動線・生活動線
- 採光や通風
- 将来的な間取り変更のしやすさ
- 施工性
- 建築コスト
なども、実際の住宅設計では重要なポイントになります。
今回のAI生成案では、指定した部屋数や広さなどの条件はかなり反映されていましたが、上下階の構造的なつながりや設備計画などについては、建築士による検討・調整が必要だと感じました。
AIは「間取りのたたき台」としては非常に便利
もちろん、AIによる間取り作成には大きなメリットがあります。
「LDKを広くしたい」
「収納を増やしたい」
「主寝室を2階にしたい」
「キッチンは対面式にしたい」
といった希望を入力すると、短時間で複数の案を確認できます。
そのため、お客様がご自身の暮らし方や希望を整理するためのツールとして、AIは非常に有効だと思います。
一方で、AIが作った間取りをそのまま「建築可能な設計図」と考えるのではなく、まずは間取りのアイデアやたたき台として活用することが重要です。
住宅設計で大切なのは「条件の統合」
AIは、与えられた条件からさまざまな案を短時間で生成することができます。
一方、実際の住宅設計では、敷地条件、法規、構造、設備、コスト、施工性、そしてお施主様の現在と将来の暮らし方までを総合的に考える必要があります。
例えば、
「この壁を少し動かしたら、1階と2階の構造がより安定する」
「この水回りの位置なら、給排水管を短くできる」
「今は4.5畳で十分でも、将来は2室を一体化できるようにしておこう」
といった判断は、単純に部屋の広さや数だけを合わせることでは導きにくいものです。
AIのスピードや効率性は大きな魅力です。
だからこそ、私たちプロの建築士もAIを否定するのではなく、設計の初期段階で活用しながら、最終的には専門的な知識と経験によって、敷地と暮らしに合った住宅へとブラッシュアップしていくことが重要だと考えています。
今回、実際にAIで間取りを作ってみて、改めて感じたのは、
「良い間取り」とは、単に条件を満たした間取りではなく、敷地・構造・設備・コスト・暮らしを総合的に考えて導き出されるものだということです。
AIを上手に活用しながら、プロの建築士だからこそできる提案を。これからも、お客様一人ひとりの敷地と暮らしに合わせた住まいをご提案していきたいと思います。




